思い出だけで語る懐ゲー

○イースシリーズ（主にPC/Falcom）

　いや、今全くプレイ出来ないかっつーと、どういうわけだかWindows版イースVIの特典にあったIからVまでのエミュ版とか、最近はWiiのVCでも出来たり（呆れたことにCD-ROM版のI・IIが遊べる）、セガ・マークIII版とかAPPLEII版とかゆーマニアックなことを言い出さなければ結構遊べはしますけどね。それでも初代のPC-88版当時の熱気というか盛り上がりを知る者としてはそれなりに思い入れもあるわけでして。



・キーワードは「優しさ」か？
　で、当時のPCゲームにおけるアクションRPGっつーのは、当のファルコムが出したところのザナドゥシナリオII辺りも含めて、（今から見れば）理不尽な謎解きを強いられる、妙にクリアまでの敷居が高い状況を辿りつつあったわけでして、その流れが行き着く先がどうなるかというと限られたプレイヤーしかクリア出来ないゲームが横行するだろう、というのは予想されていた…のか。ユーザーサイドではともかく、製作サイドにそういった予感めいたものがあったのかもしれません。
　あるいはキャッチコピーとして適切だったから、という可能性もありますが、とりあえずファルコムのイースを売り出す時の売り言葉としては「誰でもエンディングが見られる」というのがあったのは確かでしょう。
　それが適切だったかはともかくとして（何せイースは中盤でレベルがカンストしてしまうため、それ以後はレベルを上げてボスに挑むという真似が出来なかった）、少なくとも攻略方法を見つけてそれを実践すれば大抵の人にはクリア出来るという、非常に上手く調整された難易度のツボを掴んだっぽいのが、シリーズ一作目。
　あと謎解きなども理由の無いものは無くて、お使い感覚だけは払拭出来なかったものの特に対ダルク・ファクトの必須装備であるクレリア＝銀製品というのは、偶然気がついた結果ではあったけれどそれまでの伏線が一気に繋がったという極上の快感を味わった当時の自分。
　まーそれで完全にはまったわけなのですさ。

　その後一年？二年は経ってないと思うが、続編の「イースII」が発売された折には当然発売を指折り数えて待つ日々を過ごし、街中のパソコンショップに展示されたオープニングデモを見て胸躍らせて、迎えた発売日。
　もうね。多分、ゲームの発売日を心待ちにしたという意味ではあの時以上のものはもう来ることは無いでしょーね。当時の年齢もあるだろうけど、とにかくあの頃はゲームで遊ぶという行為に対して相当に真摯だった。それは間違いない。
　また、イースIIの頃はファルコムの技術力とゆーのは当時のパソゲー業界では突出していて、フロッピーを読み出しながら音楽を流し、画面が暗転する間に次のシーンを読み出すなんて真似を平気でしてたり、ハードウェアスクロールどころかスプライトすら無かった8801mkIISRで多重スクロールをさせるとか、ゲーム機じゃ珍しくはないがPCのRGBの画面でそれやられるともうゲーム機のゲームなんかやる気がしないくらいのもんだった。当時の自分の周りは大半がパソゲーマーで、スーファミが出た辺りからかな…ゲーム機ってのを触るようになったのは…。

　その後発売された、ポジション的には外伝っぽいイースIII、ワンダラーズ・フロム・イースは今度は最大４重の横スクロール画面とかもうね…完全にPC-88の限界越えてたでしょうなぁ。
　しかしいずれにしても、「攻略法を見つけて実践する」というバランス上の必須項目をクリアさえすればエンディングが見られる、という点だけは継承されていて、イース以後のファルコムタイトルはアクション部分に関しては概ねこれを満たしていて「ファルコムの色」と言わんばかりに徹底しておったものです。謎解きで無茶苦茶なのはソーサリアンの追加シナリオを挙げるけど（特にセレクテッドとかピラミッド）。



・ゲームミュージックとしての存在意義
　当時ゲームミュージックと言えば、アーケードゲームと、多分いろんな展開がされていたドラゴンクエストシリーズ…かな？
　アケはメーカー所属のバンドがライブを開いたり、ドラクエについてはオーケストラアレンジのCDがかなり売れたり、そーいう時代だったと。
　そしてそんな中での「イース」に位置づけといえば…。

　ハッキリ言いましょう。ゲームミュージックの歴史は「イース以前と以後で明確に分けられる」と。
　もちろん他の分水嶺もあるでしょうが、ゲーム音楽にドラマ性を持ち込んだという意味ではイースでかなりドラスティックな変化がもたらされたものと確信します。信者丸出しな発言で申し訳ない。
　当時はゲーム機はPSG音源のピコピコ音、PCM音源なんて以ての外、高価なPCの一部でFM音源を搭載され始めていた時期。アーケードゲームではFM音源を搭載したものが主流でしたが、あのやかましいゲーセンで音楽だけを目的にプレイ出来るはずもないし。1987年当時のアーケードゲームっつーたらアフターバーナーやらグラディウスIIやらがあるので、ゲームミュージックとしてはかなり聴けるようになっておりましたけど。
　ドラマ性のあるゲームミュージックとして定義出来る理由としては、「音楽を聴いただけでそのシーンが思い浮かぶ」という点が挙げられます。ゲームの画面だけでなくてそこで語られるストーリーも含めて。音楽が物語を描く一つの重要な手段となっている、みたく。
　そーいう意味では映画音楽に似た使われ方をされ始めた時代だったと言えると思います。アーケードゲームではストーリーテリングの一部として音楽を…って雰囲気では当然ありませんでしたし、ドラクエやファイナルファンタジーにしても、どちらかと言えばBGMでしたし。曲そのものの良し悪しという問題でなくて。
　また、FM音源を駆使するテクニックについてもファルコムは出色でした。あの古代祐三氏がファルコムに在籍していた時代で、例えばイースIIのオープニングテーマ「TOO MAKE THE END OF BATTLE」についてはどんなにコンピュータ音源が発達しようが生楽器使おうが、オリジナルのFM音源版以上の曲は存在しない！と言い切る人は少なくないでしょうが（当然ながら自分もその一人）、そんだけ音源の使いこなして且つそれに相応しい曲が次々と発表されていたわけですよ。
　…あの頃は熱かったなあ……というよーな感慨は、当時の空気を肌で味わってないと絶対言えないし。いやもう、懐古厨乙でもなんでもいいですよぅ。知っている人間だけ知ってりゃいいんだ、こんなことは。



・その後のイース
　初代からもそーでしたが、III以後はメガドライブやスーファミといったポストファミコン世代のゲーム機にも移植、ないしは新作の発売がされていきます。IVに至ってはファルコムが手がけたPC版が存在せず、PC-Engineとスーファミ版しか発売されてません。Vもスーファミ専用。
　個人的には、PC-EngineのIV以後しばらくゲームとしてのイースからは遠ざかります。スーファミを持っていなかったこともありますが、聞き及ぶにVの出来がいまいちらしいので正直やらんでもよかったかも。むしろIVとVのWindows版リメイク希望。いや今はそんなことはどーでもよくて。
　PC-Engine、スーファミに直接参入して撤退し、本業のパソゲーでもやや迷走を続けたファルコムが現在の最新作VIを発売したのはスーファミ版Vから8年も経ってのこと。
　ただ、それまでの間でも特にCDなどで音楽には親しんでました。持っていないはずのX68000版イースIIIのサントラを買ってあったりとか。まあ音楽だけ聴いても楽しめたんですよね。ゲームやってない人には価値の無いものなんでしょうが、やっぱりそこは映画音楽と一緒で、曲と本編が可逆的に繋がっているっつーか。
　で、Windows版のVIが発売。買ったさやったさ満足したさ。イースはやっぱりイースだったと。時は移ってシステムは3Dアクションになり、音楽は生楽器使ってギターが鳴きまくってるけど、「やっぱりイースだなぁ。JDKだなぁ」と。
　IIIのリメイク、フェルガナの誓いは…なんか聞き及ぶにえんらい難しいらしい。いや、途中で「なんか今回は妙に難しいなぁ」と思って後回しにしてたんで。

　それから、初代から700年さかのぼってそもそもイースの昔話的な、オリジン。ナンバリングされてないので正伝扱いにはされてませんし、主人公もアドルじゃないけど、多分これも紛う方無きイースなんであろーなぁ。さっさとインストールしろって話か。



・そしてイースSEVEN？
　とゆーことで、2007年11月現在、IR発表でナンバリング付きのイースが開発中であることが公表されています。
　VI以降はフェルガナ、オリジンと基本的に同じシステムの使い回しとゆーこともあって刷新された完全新作を期待したいところ。
　英雄伝説と過去作のリメイクで凌いでいた頃ならともかく、最近のファルコムは空の軌跡やツヴァイ、ぐるみんといったオリジナル作品で元気な雰囲気を取り戻しつつあるように見受けられまして、ゲームアーツがあんなんになった今となっては自分にとって最も古いファンなメーカーであるファルコムが、看板タイトルの名に恥じない最新の「イース」を見せてくれるものと信じてますのです。
　信者で悪いかぁぁぁぁぁっ！！……いやホント、このシリーズに費やした金額って結構なもんだと思うよ？


○バーチャレーシング（AC/SEGA）

　ハングオン、スペースハリアーから続く受動的体感ゲームの系譜のラストに位置するバーチャレーシング、SEGA Model1基板のデビュー作としてもよく知られてますが、今となっては少数派のフォーミュラマシンをベースにしたレーシングゲームとしての評価も高かったのはまあ割とどーでも良く、デラックス筐体のGの表現や良し、学校帰りに友人たちとレースに興じるに良しと自分にとっては相当にはまった覚えがある思い出の一品。新ネタに相応しいタイトルと言えます。



・当時のレースゲーム
　ぶっちゃけるとフルポリゴンのアーケードレースゲームというのは別にこれが元祖というわけでもなく、数年後にリッジレーサーを控えていたナムコの「ウィニングラン」がありまして、しかしこれがゲームというよりもどちらかと言えばレーシングマシンシミュレーターの趣であり、ゲームらしい爽快感を味わえる代物ではなかったと。
　ポリゴンに依らない従来の2Dレースゲームはセガの「モナコグランプリ」、ナムコの「ファイナルラップ」といった辺りが定番で、「ファイナルラップ」はやっぱり当時友人連中とよく遊んだものですが上位のマシンほどトップスピードが伸びない仕組みで途中の抜きつ抜かれつという過程を無理矢理に演出するには良かったけれど、そのシステムを理解すると勝つだけが目的ならいくらでもなんとかなるとゆーバランスの悪さからして長く楽しめるもんでもなかったもんです（特に「ファイナルラップ」は、慣れると後ろからぶつけて前の車をスピンさせて抜くという芸当が出来たため）。

　本当の車っぽさと（いや、当時免許持ってなかったけど）、ゲームらしい楽しみを両立出来た初めてのゲームが「バーチャレーシング」だったと、今にしてそう思います。



・多人数、20周設定
　「バーチャレーシング」には、圧縮空気をシートに送り込んで膨らまし、左右からのGを演出するDX筐体と、狭い場所でも複数設置出来るスタンダード筐体がありました。幸いなことに当時近所には両方あり、DX筐体でストイックにタイムを削ることも出来たし多人数プレイに興じる環境も整っていたりと、ことアーケードゲームについてはえらい恵まれてたよーな気がします。

　さて…スタンダード筐体設置の方の店では、 筐体を４台接続して４人同時プレイの他に、１ゲーム２０周というワンマン耐久レース（初級コースでも１ゲーム１０分はかかる）仕様に設定してあり、学校が終わってヒマ〜な連中が晩飯まで時間潰すのに最適だったのです。

　そしてこの耐久レース仕様のバーチャレーシングの何が凄いかってーと、１０周ほどしているとタイヤのグリップが明らかに落ちてきて、アンダーステアもいいとこな挙動になる点。で、ピットインしてタイヤ交換するとグリップが回復するという仕組み。
　これは…最初グリップ落ちてしゃーないなぁと思って何となくピットインしたらグリップも回復していたというお話。これが分かった途端、対戦プレイに更に拍車がかかったわけなのですよ。なんせ、ファイナルラップと違ってイカサマな挙動無いし、上手な人がまんま速いゲームなもんだから、そこに他要素が加わってゲームの内容がかき回されるとまた仲間内のランキングに変動が出てきますもんで。例えば、最初の頃は全員オートマでプレイしてたけれど、シフトダウンによるエンジンブレーキの効用が知られると皆マニュアル操作に切り替えるし、と。
　恐らくは、対戦格闘ゲームのムーブメントに近いものがあったんでしょう。繰り返しプレイしてコツを掴み、仲間がやっているのを見て自分も真似て、工夫して、それを更に真似してされて…という流れの連続。
　対戦格闘と違っていたのは、２人対戦ではなく４人対戦が出来たことでわいわいと仲間内で騒ぎながら遊べたということ。他にもゲームはあったじゃないかー、という指摘はもっともですが、あの頃の男子学生は車に興味がある連中多かったんですよ…理工系だったし。

　そういうわけで、今となっては出来ない、懐かしいゲームとなると真っ先にこのバーチャレーシングが思い浮かぶんですなぁ…あの頃は楽しかったもんだ。


○MARICA 真実の世界(SS/ビクターエンタテイメント)

　最近はそーでもないですが、以前はクリアしたゲームは結構うっぱらってたもんで（そうでもしないと次のゲーム買えなかった）、その中でも特級に「売るんじゃなかった」ソフトの筆頭。このコーナーはそーゆーソフトを主に取り扱うのでいずれ何かしら書くこともあるかもしれませんが。

　遠藤正二郎と言えば…実は管理人もよく知らないですが（なら持ち出すなよ）メガドライブの時代よりシルキーリップやAランクサンダー等々、知らない人の方が圧倒的に多いが知っている人にとっては知っている以上の価値がある、っちゅー一種狂的なファンを生み出してきたクリエイター。その手によるサターンの怪作。決して良作でも佳作でも、ましてや傑作などではあり得ません。

　ま、ゲーム自体はごくごく普通の、とゆーよりか当時の水準からすれば明らかに普通以下。マップのグラフィックはショボいし、ゲームシステムもオーソドックスというよりか凡庸の極みだし、今やったら確実に10分で投げ出すことでしょう。それくらい退屈。

　だがしかし、このゲームの売りはそんなところではない。
　何がすげーって、その「怪しい」雰囲気が全く他の追従を許さないレベルにまで昇華されており、MARICAの前にMARICA無く、MARICAの後にMARICA無し、と言ってヨイ。

　物語は、真実の徒という組織が企む日本征服の野望にまきこまれた三人の少女が超能力に目覚めてそれぞれの日常と決別し、真実の徒と戦うという大筋。
　ここまで読んで「ありがち」と思った方半分正解。が、料理は材料でなく料理人の腕で決まる。このゲームの恐ろしく非凡なのは、味付けだったりします。

　まず、真実の徒の首領、「真実の人（トゥルーマン）」という一見普通のおっさんがすこぶるぶっ飛んでいる。
　組織の繰り出してくる怪人が無茶苦茶怪しい。
　それでここからが割と重要で、主人公サイドの葛藤の書き込みが細かい。

　なんせやったのが相当前のことなんであやふやにはなりますが、三人の女の子の主人公、これがいきなり超能力なんてものを持たされて日常から弾き出されてしまうために、戦う立場に至るまで日常生活への執着が捨てきれない。で、結局何やかんやで家族や仲間を振りきって真実の徒との戦いに身を投ずるわけですが、いやもおここらの主人公らしい悩みや決意をしっかり描いたゲームがどんだけあんねん、っつー話。
　時代的にはノベル系ADVってのはまだ無かった時期で、その分当時は物語性や世界観を重視したRPGってのがもしかしたら今よりも充実していたかもしれない。また、RPGだったからこそ、イベントとしての戦闘があって、物語性を強化することも出来たかもしれない。
　最近RPGはとにかくゲーム単体としての面白さ、システムを充実させてはいるけども、案外展開として盛り上がりある戦闘シーンを構築出来ているか？っつーと管理人個人的には昔の方が良かったよーな気もします。昔の方がRPGの数こなしていたということもあるもでしょうが。アルトネリコなんぞは音楽の効果もあって戦闘シーンはしっかり盛り上がってたけれど。

　敢えて悪い言い方しますと、RPGで語られる程度の物語っつーのは既に形としては出尽くしている感もあり、もしかしたらかつて到達していた地点よりも戻っている可能性すらある。そんな中で何か印象に残る物語を描こうとした場合、本筋もさることながら「どうしてそうなるのか？」的描写を丁寧にする必要があるんじゃないかなぁ、と。
　一見突飛に見える展開であっても、そこに至る過程をプレイヤーが理解しているならばそれはやっているプレイヤーにしてみれば必然であろうし。

　まあそういう所が全く出来ていなかった代表格がグランディアIIIっつーことだorz

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